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環境を汚す心配はまったくといっていいほどありません。 分解時間も短く、閉鎖系での分解処理ですから、排出物で環境を汚染することもありません。
複雑な反応制御も無用で、熱分解処理法のように誤ってダイオキシンを再生成することもないのです。 この方法は、まだ実用化のめどはたっていませんが、処理方法がエコロジカルであり、施設の建設費用も安くてすむところから、未来形ということで大いに期待されています。
開発を応援し、希望を託す意味をこめて、少しくわしく紹介しましょう。 これは通産省の工学院物質工学工業技術研究所化学システム部のS、Tの両氏が開発したもので、超臨界水を用いてダイオキシン類を無毒化しようという試みです。
超臨界水を簡単に説明すると、水に一定の圧力と温度を加えて、液体とも気体ともつかない状態にしたものです。 超臨界水は、気体とも液体ともちがう不思議な動きと働きをします。
そこで酸化剤を入れた水を超臨界状態にし、そのなかにダイオキシン類を含む物質や空気などを入れて分解するというものです。 反応温度四○○度、反応圧力三○○気圧にした超臨界水のなかに入れること約二一○分で、反応器中のダイオキシン類の九八・五%以上が分解されて無毒になります。

かつてテレビでも報道され、注目を浴びた画期的な方法です。 現在、実用化に向けて研究が続けられて何といっても魅力的なのは原理のシンプルさであり、装置の値段が桁ちがいに安いことです。
ある製鉄会社が開発した溶融固化処理法による分解装置は一基で数十億円ともいわれていますが、超臨界水の装置はその一○分の一程度の値段におさまると見られています。 それだけに早急な実用化が期待されます。
そうなった暁には、焼却炉には必ずこのような分解システムの設置を義務づけてほしいものです。 人間の体には毎日、多量のダイオキシン類が蓄積されていくのに、自然減衰に任せておくしかないのでしょうか。
先に見たように、現在考えられる最良の方法は超臨界水を用いたものですが、残念ながらこれを人間に用いることはできません。 結論からいえば、人間に対する特効薬はありません。
大人の場合、自然に排出できる量厚生省や環境庁もこのシステムの存在を認めており、研究予算もついたと聞きますから、実用化もそう遠くはないでしょう。 体内に蓄積するダイオキシン類の九七%ほどは、食べものとして口から入ってきます。
とくに日本人は魚好きの国民性なので、約六○%が魚を介して体にとりこまれます。 日本近海はダイオキシンに汚染されており、そこでとれる魚のほとんどはダイオキシン類に汚染されています。

なかでも近海ものの、脂の多い魚がひどいようです。 これはダイオキシン類が脂肪に溶けやすいからです。
ダイオキシン類のことだけを考えたら、そうした魚は食べないほうが無難です。 しかし栄養的、噌好的に食卓には欠かせないものだけに、判断は難しいところです。
比較的、安全な食べものは野菜ですが、緑黄色野菜はダイオキシン類の汚染を受けやすく、汚染度が高いので注意が必要です。 食物繊維を多く持つ野菜類は積極的にとるといいでしょう。
なかでもイモ類、豆類、ゴボウなどがいいでしょう。 海藻ではひじきやコブなどがいいと思われます。
繊維質はダイオキシン類の吸収を抑制し、排世する効果が高いのですが、それを動物実験で確認したのが、カネミ油症の患者さんの治療法を研究している福岡県保健環境研究所のM氏のグループです。 患者さんのなかにはいまもまだ病気で悩んでいる人がいますが、M氏のグループが患者さんたちの悩みを少しでも軽くすべく、治療法などを模索しているうちに、食物繊維がダイオキシン類の吸収を抑制したり、排世を促進することがわかったのです。
ざらに研究を重ねたところ、クロロフィリンという合成着色料が、同じような作用を持つことがわかりました。 そしてそれが葉緑素の一種ということから、葉緑素や繊維質を多く持つ単細胞緑藻類のクロレラや、ラン藻類であるスピルリナに注目したのです。
どちらもタンパク質が多く含まれ、繊維質や葉緑素、各種のミネラル、ビタミンが豊富で、貧血、糖尿、高血圧、動脈硬化、高脂血症の人に健康補助食品として愛用されています。 M氏らは、それらをラットに与えて実験を行なっています。
その結果をまとめたのが次の表です。 「半減期」とは、排世量から体内にとどまった量を計算したものです。

よく排世してくれるものほど蓄積量は小きくなり、減衰が早まりますが、クロロフィリン、スピルリナ、クロレラなどを与えると、半減期は急激に短くなります。 普通の食事では、体内のダイオキシンの半減期は九・八年であるのに対して、一○%の米ぬか繊維では二・五年、二○%クロレラでは一・四年、同じく二○%スピルリナでは一・五年、二%クロロフィリンでは一年というように急激に下がっていきます。
体内では、胆汁をつくるのに脂肪が使われ、それとともにダイオキシンも腸内に出てきます。 ところが通常の場合は、腸内で脂肪の再吸収が行なわれ、それと同時に脂肪中のダイオキシンが体に再吸収されます。
クロロフィリンはダイオキシンと結合することによって再吸収を防ぐ作用があり、その結果、体内のダイオキシンを減少させる効果があるのです。 もちろんこれは動物実験であり、いくらダイオキシン類を排世してくれるからといって、全食事量の二○%もスピルリナやクロレラを食べるわけにはいきません。
そこがこの方法の大きなネックですが、ダイオキシンの排池に有効な成分のみを抽出して濃縮エキスにしたり、食生活に上手に組みこむことで、有効な摂取方法が見つかる可能性はあります。 大量の摂取はできなくても、日常的にとれば効果があるかもしれません。
二○%で一・四年ですから、一○%なら二・八年の半減期という単純な計算にはならないでしょうが、いま考えられる対策としてはこれしかありません。 積極的に摂取し、少しでも多くのダイオキシン類を排世できたら儲けものです。
しかしこれは、ダイオキシン類そのものを抹殺する方法ではありません。 その人の体からは排世されますが、ダイオキシン類を含んだ排世物を栄養とする動植物がいて、いずれまた循環して人間にもどってくるからです。
そのような循環に目をつぶりさえすれば、有効な方法といってもいいでしょう。 摂取を徹底的に抑制しようと思うなら、汚染度の高い魚を食べないようにすべきです。
が、そのことに神経質になるよりも、繊維質の多いものをとり、クロロフィリンやスピルリナ、クロレラなどをとるほうが実際的だといえます。 それでも全部を排出できるわけではありませんが、いまはそれしか方法がないようです。
体内汚染濃度が高い人たちのために、どんなタイミング(食前、食中、食後など)で、どの程度、クロレラなどを摂取すれば効果があるのか、また類似効果があり、もっと促進できる食物があるかなどの組織的研究が望まれます。 可能なかぎり燃やさない方法を選択することが大切さて、現在のゴミ焼却施設では、ダイオキシン類を防御することはできないのでしょうか。

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